Patagonia

八月末、外出先の九段下にいるときに、イーストウィンドのキャプテン、田中さんから電話を頂いた。

「今、ちょっと電話大丈夫?」と、若干緊張を含んでいる。
なんか書き方が後出しジャンケンぽくて仕方ないが、
この緊張からなんとなく予感はするものである。
何かただならない相談があるのだろうと。


いつも通り、田中さんは直球だった。


「来年二月の、パタゴニア・エクスペディションレースイーストウィンドとして出てもらえない?」


よろしくお願いします、と即答した。一瞬僕でいいのか? と思ったが、
他のメンバーとも話した上での決断だろうし、パタゴニアへ行ってみたかった。

さて、一ヶ月の休暇と妻の承諾が必要になる。
夜、帰宅して妻に一部始終を話すと、笑って快諾してくれた。
翌日、直属の上司である日本支社長と話すと、
驚いてはいたものの、年末までのパフォーマンスを条件に承諾してくれた。


4年ぶりの海外レースは、地球の反対側である。

就職しても、結婚しても冒険からは離れられない。