レースを振り返って

ブラジル・パンタナルでの世界選手権が終わって3週間が経つ。帰国翌日から仕事をしているので、時差ぼけかレースの疲れなのだか仕事の疲れなのだかよく分からないまま日が経ってしまった。


東京にいながらグーグルマップでルートを辿ってみると、改めて文明から遠く離れた場所にいたのだと思う。レースの拠点となったのは、ボリビアパラグアイの国境に隣接する、コルンバという街だった。


スタートはそこから更に一晩軍用船で遡ったところだったので、まさに文明の果てである。よくこのような場所でレースを開催したものだ。


振り返ればここ数年の間にレースや出張の機会に恵まれ、様々な国に行ってきた。沢山の国に行ったからといって何が変わるわけでもないが、興味の赴くままに見聞を広めることができたのは良かった。
(行った場所は青と水色)


11月25日の午後に帰国してからハニさん一家に送っていただいて世田谷の家に荷物を置きにいき、遠征中に生まれた娘と家族に会うために埼玉県の妻の実家へ向かった。娘は、私が飛行機で飛んでいる間に生まれた。出産に立ち会うことはできなかったが、それだけのレースができただろうか。


実家では義理の両親と妻、息子が迎えてくれた。二歳の息子は久しぶりの父の帰国を理解しているようで、こちらが戸惑う位嬉しがってくれていて良かった。初めて会う娘は小さく、息子が生まれたときとはまた違った喜びがあった。赤ちゃんにも個性があって、息子のときは四六時中泣いていて誰かがあやしていたが、娘は静かに寝ている時間が多い。帰国してから平日は世田谷から会社に通い、週末には実家へ会いにいく日が続いていたが、一ヶ月検診を終えてようやく一家四人での生活がスタートした。


早速、夜泣き、長男の嫉妬、2倍の洗濯物とオムツに苦労は絶えないが、思いっきり好きなことができて家族も健康。これ以上の喜びはないと思う。


そして、自分のためだけにレースをしているのではないと思うようになった。20代前半までは好きにしていれば良かったが、子供が二人もいれば自然と責任感も芽生えてくる。次の世代のためにも、頑張らねばならない。