パタゴニア・レース10日目

他のメンバーが寝ている中、7時半頃起きて海岸で歯を磨き、朝食にと用意してくれたオートミールを食べていると、スタッフのマルティナが来て祝福してくれた。風もなく、凪でレースの最終日を迎え、一番幸せな時間だった。過去11回のレースの中で、一番過酷な大会だった。完走おめでとう、と。


9時頃ステファンが来て、カヤックMTBのどちらで最終セクションを行くか提案を受けた。聞くとアディダスは2択のうち、風があったこともありMTBでそのままゴールしたそうである。私たちは完全完走にこだわり、カヤックを選択した。最初カメラクルーと平行して漕ぎ、いくつかの撮影に付き合った後、睡魔と戦いながら約6時間で40kmのカヤックを終え、最後のMTBに乗り換えた。トランジションではギアジャンキーが待機しており、私たちの30分後にゴールする予定で走り出すということだった。「ゴールで会おう」と挨拶し、最後の30kmのライディングへと向かった。


最後は舗装路である。ゴールのプンタアレナスの街が20km手前から見えた。10日前、バスに乗ってスタート地点へ移動した広場がゴールだ。とても長い、厳しいレースだった。派手な場面は無いものの、人の手の及ばない大自然の中で命を守り、メンバーと協力し、気持ちを切らさず進み続けるのは並大抵ではない精神力を要した。そして、もう急ぐ必要は無い。


国旗を掲げてゴールし、プンタアレナスの多くの人、大会関係者に迎えられた。