パタゴニア・レース9日目

トレッキング最終日。この日、無事Mt.Tarnの山頂を踏み、降りればゴールが見える。PC14のスタッフに3位を進んでいたギアジャンキーのコース変更を聞き、私たちが最終完走者であることを知った。いよいよ自分たちとの戦いに入った。

この日に限って再び寝坊。田中、ヨーキ、山北3人が目覚ましをかけていたが誰も気づかず、ヨーキが4時に目覚め、皆を起こした。かつて無い早さで準備を終え出発。まずは5kmの湖沿いを進む。明るくなる頃、カウトレイルや歩きやすい場所を探すもなかなか見つからず、結局水際を歩く。そして湖に流れ込む川を渡る場面に出た。ルートは川を渡り、進むことになっているが幅も広く、深い。田口が溺れる危険もあり、ここで川を渡らず様子を見ながら進む案も出たが、賭けに出る時間もないことと、いずれ渡る必要があったのでヨーキが最初に泳いで渡り、田口、田中、最後に山北の順で渡った。覚悟したほど問題も起きず、全員がスムーズに渡り終えトレッキングを再会した。

いよいよ後が無い中、ヨーキのナビが冴え渡り、山北が荷物を持ち、進みやすいルートを予想以上のペースで進むことができた。

カウトレイルと歩きやすいトゥルバをつなぎ、18時半、Mt.Tarnの麓に到着。
18時半頃登り始め、一度ピークを間違えたものの稜線をつないで21時半、山頂に到着。


田口の足も痛んでいたが、暗闇が迫る中メンバーの後を必死に追った。PCに設置されるパンチを打ち、私たちが最終チームなのでスタッフの代わりにパンチを持ち帰ることにした。


山頂から下りはトレイルがあるということだったが、暗い中トレイルへの入り口を見つけるのは困難を極めた。所々足跡が見つかるが、ガスもあり、風も強くどこから降りるのか明確ではない。皆食料も食べ尽くし、今晩中に降りなければ危険な状態だった。ナビをつとめる田中、ヨーキを中心に必死で暗い中足跡を探し、1時間ほどで田中がトレイルを見つけた。よく見れば足跡が収束しており、申し訳程度に白いビニールが張ってあるトレイルがあった。


下りだすとすぐにぬかるんだ地面が始まり、なかなか標高を下げることができなかった。高度計をたよりに正確なルートを取っていることを確認し、最後5kmのトレイルを進むがここで田口の足が限界に達し、メンバーについていくことができなくなった。一方で、田中は歩みを止めることで足の痛みが再発するため、前を進んだ。田口の荷物はほぼ全て最初から男性メンバーが持ち、負担を軽減している。補給を手伝い、牽引をし、できる限りのカバーをしても体力と技術の差が歴然としていた。


そして午前1時半、ようやく海に降りた。沢で泥の付いたゲイターを洗い、左手に見えた小さい明かりを頼りに進むとドームテントが見えた。PC16に到着。トレッキングの終了と同時に完走が確実なものとなった。


スタッフにチェックを頼むと集まっていたカメラクルー、他のチームメンバーが起きだして歓迎してくれた。オートミールとパスタを振る舞ってくれて、ここではテントとシュラフも主催者が用意してくれていた。苦労したトレッキングをようやく終えることができ、完走が確実なものとなった。深夜、暖かい歓迎を受けたことと、もう急ぐ必要が無いせいかあまり眠気を感じなかったが、2時半頃主催者の用意してくれたテントに入り、睡眠を取った。