ニューヨークでの仕事

当たり前ですが、平日はマンハッタンのど真ん中にある会社で仕事して、夜は日本と連絡を取ったり同僚と飲み歩いたり、あるいは走り回ったりしていました。最初の2週間、10日間で60を越えるミーティングが組まれてて訳が分からない位忙しかったです。



ただ、訳が分からないなりに働いていれば理解できるところもありました。一つは国は違っても基本は一緒で、良い結果を出すためにマジックは無いということです。極東の支店で働いている立場の私にとって、ニューヨークは人数、売り上げともに桁違いの存在ですが、本社にも凄まじい成果を上げている人もいれば、上手く出来ない人もいます。


もう一つはあまり語られないことかもしれませんが、外資系の企業が必ずしもグローバルな環境ではないということです。学生の頃、海外で活躍するなら日本の会社に入った方がいいという話を聞きました。働いたことも無いので実感は湧かなかったのですが、外資系の会社で何年も働いてみてよく分かりました。逆の立場で考えてみると理解しやすいかと思いますが、例えばトヨタがインドに支店を出したとして(とっくに出していると思いますが)、デリーの支店で採用した若造を東京に来させるでしょうか。職種にもよるかと思いますが、恐らく可能性は皆無でしょう。


日本は世界のなかでも最も豊かな国の一つで、恐らく唯一英語が通じない特殊な国だと思います。他の豊かな国、もしくは新興国も経済の中枢にいる人はほぼ英語が通じて欧米の商慣習が通じますが、日本だけがバリアがあり、「豊かなのに入り込めない」特殊な地域です。そんな支店にいて大事なのは、意外にも「正確な日本語を話し、商慣習を理解する」ということでした。先ほどのトヨタの例で言えば車を作る、戦略を立てるところは全て本社でやるから、インドではヒンディー語をちゃんと話してカーストを理解し、優秀な手足となってくれということです。楽な仕事ではありませんが、信用は貯金できてもチャンスは貯めれるものではありません。この機会を活かして得たものを日本に持ち帰りたいと思います。