2013年を振り返って

2013年、怒濤の一年間が終わりました。もう年を越えて元旦の朝3時なのですが、息子の絶叫で起こされて眠れないのと、あと数時間で飛行機に乗って私の実家へ帰ることになっているので、起きて準備しています。このブログでも折りをみて書いてきましたが、自然、仕事、家庭の3つの分野に分けてしっかり記録を残しておこうと思います。

  • 自然

昨年、クリスマスはイーストウィンドと西伊豆でのシーカヤックを漕ぎ込み、年末年始は鹿児島と屋久島に行ってきました。高校生の頃、2003年に自転車で日本縦断をしたときゴールにしたのが屋久島だったで、9年ぶりに訪れることができました。東京は東京でいいところも沢山あるのですが、鹿児島くらいの大きさの都市が落ち着きます。そして島では3泊し、妻とトロッコ道を歩いて縄文杉も見てくることができました。次回は夏に訪れて、海や川でも遊んでみたいと思います。


そして2月はイーストウィンドとしてパタゴニア・エクスペディション・レースに参加し、準優勝という結果を残すことができました。10日間もの日数を要した全体のレース運びは、本大会四回目の出場となるキャプテンの田中正人さん、そして田中陽希さんの力によるものが非常に大きかったです。関西から参加した女性メンバーの田口明美さんも、必死に頑張り大きなミスをしなかったことが結果につながりました。


冒険家・関野吉晴氏の偉業「グレートジャーニー」のスタート地点がパタゴニアであり、当時の記録をまとめた「嵐の大地・パタゴニア」という本は私が小学生のときの読書感想文の推薦図書となっていました。当時から地球にこんな自然の残る土地があり、いつか行ってみたいとは思っていましたが、このような形で訪れる機会を得たことに感謝しています。


帰国後は申し込みを済ませていた100マイルのトレイルランニングレース、ウルトラトレイル・マウントフジに出場できなかったのが心残りですが、先輩の誘いで金融機関に勤めるランナーの方々と遊び始め、オクスファム・チャリティーウォーク100kmで優勝することができました。夏には日本アルプスにも3回通うことができたのも、いい経験です。


そして先日のコスタリカ・アドベンチャーレース世界選手権。女性メンバーを公募し、フルマラソン等で活躍する中村雅美さんと組んで出場が決まったのが5月。国内のレースに出たり、集まってトレーニングを積んだ回数は明美さんの時とそれほど差はなかったと思います。しかしチームとして過去3回の経験を積んでいたパタゴニアとは異なり、初めての大会、初めての暑い環境でのレース、雅美さんにとっては初めての世界大会と、男性メンバーとの組み合わせ。それぞれのレースまでの取り組みや価値観の違いはレースを通じて各自の経験と力でカバーされていましたが、徐々に無理が積み重なり、雅美さんの事故が決定打となってリタイヤしてしまいました。今回の挑戦は、2月にNHK BSで放映される予定です。リタイヤを含め今回の挑戦はどのようにまとめられているのでしょうか。





  • 仕事

仕事では金融派生商品デリバティブ)のプライシングに携わり、丸四年を迎えています。会社としてはメガバンクを初めとした金融機関のリスク量(金利や市場が動くとどれくらい損失が出るか、といったこと)を計算するソフトウェアや、ウェブデザイン等も扱っているので金融機関というよりは情報産業に近いと思います。株や債券は耳にする人が多いと思いますが、それらを裏付けとする派生商品というものがあり、将来の価格を取引する先物、同じく将来の価格で取引する権利のオプション、キャッシュフローを交換するスワップ、それらを組み合わせたもの等、想像の及ぶ限り様々な商品があり、需給で決まる実体経済の何倍もの規模があるとされています。個人で身近な金融商品としては変動金利・固定金利の住宅ローンや生命保険等がありますが、これらのリスク、つまり想定外のぶれをヘッジするために裏で金融機関が利用しているのがデリバティブです。


上場された会社の株価が新聞等で一目瞭然であるのに対し、こういった複雑な金融商品は確率や統計を駆使して理論的に計算を行います。しかし、正確かどうかは微妙な話で、例えば株価が上がるときはゆっくりで、落ちるときは一瞬であることは周知の通りです。大抵推計値に収斂するというのは事実ですが、世界で最も高い能力を持った人が集って作られたヘッジファンドが多大な損失を抱えたりまるで説得力がありません。


それよりも、金融の世界では人と異なる視点を持つことが大事なのではないかと思います。損失の「飛ばし」が露呈したために上場廃止まで検討された一流の光学機器メーカー、東日本大震災で壊滅的なショックを受けた電力会社、多くの人が「終わった」と思うところで自分の考えを信じ、リスクをとって魂のポジションを張れる人が青天井の報酬を得る世界です。アドベンチャーレースでも、メンバーに元気があってプッシュしている時に流れに乗って行くのは当たり前で、メンバーがヘタッている時に思いっきりパワーを発揮できる人が価値があるのは同じです。


私自身の立場で言えば、社長や同僚がボロボロ辞めて行く中、一人の厳しい上司がいたことが大きく、金融のみならず社会人として多くのことを学ばせていただきました。なぜか面接のときから私だけに厳しく、駆け出しの頃は別室に連れて行かれたり怒鳴られたりあからさまなパワハラを受けてきましたが、実際英語がさほど流暢でないその人しか業績を上げていないのでかなりの説得力があります。一度、社長が毎年替わり(昨年末は四人目の社長に査定されました)、同僚も女性ばかりで女子校化する環境に嫌気がさして直訴したことがあったのですが、「バカヤロー、本当に使える敏腕がいたらどんな状態でも実績をあげてきて、お前みたいな小僧なんかずっと下っ端なんだよ」と一蹴されました。目からウロコが落ちました。


もちろん、仕事として海外に行かせてもらったり、給料も休暇も出してもらったり感謝は尽きません。そして周りにも助けられ、昇進の機会を得ることができました。自由の裏には責任がある。私の母校のモットーです。仕事で得た知識は自分で行う投資にもフル回転しています。

  • 家庭

今年一番の変化は、何と言っても息子の誕生でした。9月上旬に出産を迎えたのですが、家族が増えるというのは何にも勝る経験だと思います。レントゲンに写っていたマメのような生き物が、数ヶ月後には人の形となって産まれてくるのは驚きました。「生活が変わるよ」と諸先輩方には言われていましたが、確かにその通りでひどいときは夜中一時間ごとに起き、おっぱいを求めて泣き叫びます。日中も静かに寝てくれるというのは皆無で、この原稿を書いている今も腕の中で寝ていますが、喜びも大きいことは言うまでもないでしょう。


2014年はいよいよ27才を迎え、30才という何とも言えない年が近づいています。若すぎる訳でもないですが、おっさんでもない。中途半端な年ですが、もう身長は伸びないでしょうし、50m走が速くなるわけでもないでしょう。そして、社会的には今までの繋がりや蓄積から、将来が見えてくるという頃かと思います。イーストウィンドとその活動をサポートして下さる方々、海外を含めた同僚や取引先、家族や友人に感謝し、今年も実りの多い年にしたいと思います。


(初めての飛行機)