ウルトラ・タイ プレレース

今回走ることになるレースは約150km。来年は東南アジア初の100マイルレースとして大々的に宣伝を行うそうです。主催者はアウトドアブランドでプロジェクトマネージャーをしていたというフランス人のセバスチャン(右)。


チェンマイ到着日の木曜日、徐々にホテルに選手が集合し、夕食を兼ねてブリーフィングが行われました。世界10カ国から10チーム、20人の選手を集めたそうです。今年はプレレースのため順位はつかず、10のチームを早い順に3つに分けてそれぞれにペーサー兼ガイドを付けて走らせるということです。


レースは標高300mのチェンマイをスタートし、1000m前後のDoi Suthep-pui国立公園、Chiang Dao国立公園を北上しながら縦断するコースです。お寺への山道や、都市を離れると舗装していない道が現れますが、基本的にトレイルが整備されている国ではないのでマーキングとGPSは必須です。初日に北欧のデンマークノルウェー混合チーム、スペインチーム、そして我々が一番早いグループを形成し、最終日まで一緒に行動しました。





夜は現地の村がステージごとのゴールに設定されており、主催者が袋に入れた着替えと毛布を運んでくれる仕組みになっています。シャワーやコンビニがあるような生活ではないので、汗だくでゴールした後は体が温まっているうちに川に入り、泥や汗を流しました。ちょうど11月は乾期の初めにあたり、日中は非常に蒸し暑く、ヨーロッパの100マイルレースとは違った苦労があるのではないかと思います。食事は3食ともに主催者や間借りした家の方がタイ料理を作って下さいました。チャーハンや野菜炒めに卵焼きが乗っているような食事で、日程が進むにつれ美味しく感じられるようになりました。





9月にロンドンので優勝後、足を痛めていたこと、仕事もきつい環境だったためあまり追い込んだトレーニングができませんでしたが、主催者の采配と、ペアを組んだ然君や同じグループにいたヨーロッパのチームに引っ張ってもらってコースを満喫することができました(最終的には私と然君のペアだけが一緒にコースを走り、他のチームはマイペースにバラバラになっていたのが面白かったです)。


来年、主催者の計画通り東南アジア初の100マイルレースがこのコースで開催されるとしたら、日本からも出場しやすいレースとして参加する人も出てくるかもしれませんが、個人的にはかなりハードなコースだと思います。私も100マイル一気に走れと言われたら躊躇するのではないかと思います。というのも、トレイルのかなりの部分に藪漕ぎのようなルートがあること、田んぼや畑のあぜ道というのではなく、道ですら無く稲をかき分けて進むような箇所も多く、マーキングも少ないのでレース中、一人で夜中も進み続けるのは経験者であっても難しいのではないでしょうか。


ただ、多くの人にとってこのような機会が無いとタイに来ることも無いしょうし、ましてや田んぼやバナナ畑の間、あるいはジャングルを切り開いたようなトレイルを走ることも無いでしょう。そういった意味で、ヨーロッパやアメリカのレースに飽きた人にはたまらない体験を与えてくれるかもしれません。