アドベンチャーレース世界選手権への出発

学生時代から数えると、チームイーストウィンドで五回目の海外遠征となった。


初めて参加したのが2007年に行われた中国のマルチスポーツレース「ウーロンマウンテンクエスト」、そして2008年のアドベンチャーレース世界選手権「ポルトガルエクスペディションレース」、2013年の「パタゴニアエクスペディションレース」、同年の世界選手権「コスタリカアドベンチャーレース」、そして今回はブラジル内陸部・パンタナルの湿原を舞台に開催される世界選手権である。世界中で10未満の大型レース(アドベンチャーレース・ワールドシリーズ)が毎年開催されており、その中で距離や種目構成など一定の条件を満たした年末のレースが、その年の世界最強を決める世界選手権(アドベンチャーレース・ワールドチャンピオンシップ)として認識されている。


今回の出場は前回までの4つのレースを一緒に組んだ田中正人キャプテン、田中陽希さんのコンビではなく、趣味でアウトドアスポーツに取り組む会社員の高濱さんに、初めての海外レースとなる女性メンバーの西井真知子さんとチームを組んだ。4人中2人が初めての海外・長期レースとなる。


出場ギリギリまで多忙を極めて体調を崩したり、家族や職場にしわ寄せが行ってしまったり、迷惑をかけた人のことを考えると心が苦しい。思い返すと学生時代はもちろん、結婚しても子どもが生まれる前までは一週間のカヤック合宿などにも余裕で取り組むことができた。


とは言っても、できない理由を考えるのが私の仕事ではなく、今まで様々な人に支えられて多くのレースで経験を積むことができたことに感謝し、日本を代表するチームとしての活躍を牽引するのが私の努めであると思う。パタゴニアでのレースはメンバー揃ってコースを完走し、準優勝という結果を残すことができたが、ポルトガルコスタリカではどちらも女性メンバーの怪我があったり、実力不足で納得のいくレースはできなかった。経由地のアブダビで乗り継ぎ待ちであるが、たった今チームの目標は「完走及びトップ10」と決まった。今回のブラジルでのレースは後にテレビで放映される。子供達に将来「親父はこんなことやっていたのか!」と思う日が来ることを信じて頑張りたい。