パタゴニア・レース3日目

1時45分起床。2時半頃動き出し、事前のブリーフィングで難所という説明を受けた急斜面、深い薮のトラバースセクションへと進んだ。ここは標高を上げて薮を避けようと話しており、550mに推奨ラインが引いてあるところを740m程度まであげたが崖に阻まれ、結果的に徐々に標高を下げながら推奨ラインの近くを通った。大会後アディダスチームに話を聞くと、彼らはブリーフィングの中でここは鍵となると判断し、明るいうちにこの斜面を見て標高を800mまで上げ、容易にクリアしたということだった。ここは非常に薮が深く、わずか2km程度を進むのに3時間以上かかっていた。雨も強くなり、レインウェアの撥水等は一瞬で落ちてザックのメッシュにも穴が開いた。山北は腰が痛くなって薮を進むのが遅れ、田中にテーピングを施してもらう場面があった。ヨーキは力強い足取りでチームを牽引し、レース4度目の経験と高い実力を発揮していた。薮漕ぎを経て開けた土地に出た後、人の気配が全くない原野を雨の中進み続けた。推奨ルートはコースディレクターたちが歩き、もっとも歩きやすいルートということであるがトレイル等は皆無で普通の日本人の感覚とはかけ離れたルート設定だった。要所要所でルートが限られた箇所ではアディダスの足跡が多く見つかった。



そしてこの日、トラバースに加えて二度目のナビミスをしてしまう。高台から西よりの沢へ降りるところを一つ東の沢に降りてしまい、1−2時間のロスを作ってしまった。正規ルートに復帰した後暗くなり、目印の湖を探すがなかなか見つからない。湖に流れ込む川を見つけたので藪漕ぎでひたすら川沿いに下り、1時間半ほどで湖を見つけ湖畔にテントを張った。この日も雨が降っており、各自がレインウェア、ゲイターやシューズを外においてテントに入った。テントの中では毎晩足を乾かし、乾いた服に着替えてシュラフに入った。4人が互い違いに寝てギリギリのスペースである。3時間の睡眠の後はマメ予防のワセリン、「ガーニーグー」を足に塗り籠み、外に雨ざらしになっているギアを装着して進みだすという繰り返しだった。