コスタリカ・レース8日目

深夜11時半起床。準備を整えて零時過ぎ出発。まずは35km程の川下り、河口直前に別の水路に入って北へ進む。零時半に出発すると、さすがに明るくなるまでたっぷりと時間がある。夜中に鳴く吠え猿や、上陸して休む他のチームを見かけたり、私たち自身も流されながら少し休んだりしながら下って行った。


河口直前から、NHKの取材班と同行する。ここから先は海岸線と平行に走る自然の水路を行く。ジャングルクルーズか熱帯のフィッシング業者が管理するリゾートを横目に、ジャングルの水路をひたすら漕ぎ続ける。陽が昇るにつれどんどん暑くなり、途中髪を洗ったり、眠ったりを繰り返しながら進んだ。レースも後半に入って集中力を維持することも難しく、皆かなりやらられていた。そんなとき現れたのが、地元コスタリカのチームである。トヨタ現地法人やアウトドア関係の職に就くメンバーで構成されたチームで、漕ぎ方は大したこと無いものの、まじめに漕ぎ続けており我々も学ぶべきところがあった。10分漕いで、3分休憩というのを繰り返しているらしく、私たちもドラフティングに加わってしばらく同じ行程を辿った。小さな街に上陸するという彼らと別れ、このカヤックセクションで唯一のチェックポイントである、海岸線のリゾートホテルへ向かう。驚いたことに、このホテルを含め街全体は海からしかアクセスすることが出来ない。昨日までの電気すら通っていない先住民の集落とは正反対な、華やかなホテルに入った。レストランも多くあるが、レース中の私たちが入ることははばかれるようなフォーマルな雰囲気だった。恥を忍んで手持ちの現金でどれくらい食べれるかと聞いてみると、ちょうど開店するビュッフェで食べて行っていいという。チキンライスに作り立てのパスタ、一週間ぶりの人間らしい食事に感謝した。


豪華な夕食で腹を満たした後は、再び気持ちを奮い立たせ、続けてカヤックのゴール、トレッキングの起点へ移動を続ける。夜10時半頃、細かい水路の中にあるトランジションへ到着。零時過ぎの出発から22時間が過ぎていた。ここでは3チームほどが団子になっており、蚊に襲われる中カヤックを畳み、ジャングルの中のトレイルを出発。ぬかるみがひどく、ヘッドライトの中進むがいい加減この最悪な環境にも慣れてきた。約18kmのフラットなトレイルということだったが、疲労が激しくなかなか進めない。足を痛めたもの、睡魔に教われるものとかなりダメージが蓄積されており、途中横になったりもしながら次のトランジションに着く頃は夜が明けようとしていた。私も初めて足の裏の皮が剥がれていく症状が出てきた。感染症と呼ばれることもあるが、極度の疲労が蓄積されてずっと濡れた環境にいると免疫が低下し、皮膚の再生機能が落ちて行く症状である。赤い斑点が広がり、その部分は真皮が表面に出ているため歩くたびに痛みが走る。