コスタリカ・レース9日目

明け方トランジションに到着し、次は156kmのマウンテンバイク。10日間の最後の難関であり、このMTBを終えるとゴールは目前だ。最初は一時間半でも寝て進もうと考えていたが、この中一度テントに入ってしまうと永遠に起きて来れないような気がした。また、数チームが団子になっており、ここの頑張りで大きく順位が変動する。話し合った結果、このまま進むことにし、準備の早く終わったものは10分でも横になることにした。


長丁場である。すぐに暑くなり、道も複雑で地元の人に訪ねながらニカラグアの国境を目指して進む。長かったコスタリカでの世界選手権も、もうすぐ終わる。日差しが強く、道は悪く、言葉は通じず、夜は眠れず最悪な環境だった。夕方、ニカラグア側へ渡る川へ到着。ナビミス等もあったがひたすら前を追う。そして最後のチェックポイントへ入るところで何度かルートを間違えたものの、地元のおじさんに聞いてようやく正しいと思われる牧場へ入る。


1時間ほどで当たりをつけ、チェックポイントを探していると馬に乗った先ほどのおじさんが現れた。何者か知らないが、どうも道順を案内してくれるようである。ついていくと牧場から抜ける道が現れ、まっすぐいけというように身振りで示している。チェックポイントがある方向ではないが、おじさんの自信に満ちた態度にやられ皆で着いて行く。とりあえず先に進むが明らかに違う。徹夜二日目の深夜10時。メンバーはかなり混乱していた。行くも戻るもチェックポイントの場所は分からない。そして地味に辛いのが、蚊が多い。この箇所は特に難しいようで、上位のチームも含めて混戦状態だった。逆に、このポイントをとることで一躍上位に食い込むことが出来る。とにかくおじさんは勘違いしているようなので元の牧場に戻り、チェックポイントを再び探していると再びおじさんが馬に乗って現れた。すぐに隠れ、様子を見ていると、数チームがおじさんの後に着いて行っている。彼らに聞くと、これからチェックポイントの場所を教えてもらうのだという。申し訳ないが、それは間違っている。おじさんのマジックはこのレースの参加者の中で語り継がれるだろう。