ボラティリティの描写①

「これは!」というものがあったので日記代わりに書いておきます。
デリバティブの一つにオプションという商品があるのですが、これは予め定められた満期に指定した株価・数量で取引を成立させる「オプション」という意味です。例えば日経平均株価は今1万7000円前後ですが、一月後に株価が下落しており、1万5000円以下になることを予想して1万5000円で売る権利を買う取引を行ったり、逆にこのままの水準で推移することを予想して、先ほどとは逆に1万5000円で売る権利を売る取引を行うことができます。指定された価格をストライクと言い、この権利に着けられている価格が「プレミアム」と言います。当然値動きの緩やかなトヨタのような株と、上下動の激しいソフトバンクのような銘柄では現時点での株価からの距離が同じ距離でも後者のプレミアムの方が割高になり、この水準を示すものがプレミアムから逆算された「インプライド・ボラティリティ」です。このボラティリティサーフェイスを3次元のグラフにして視覚的に捉えることができたら便利ではないでしょうか?


例に挙げたように一つの投資対象に複数のストライク、複数の満期があるので、単純な買いだけではない様々な戦略を立てることができます。例えば、先ほどの例では日経平均を1万5000円で売る権利を売って、1万4000円で売る権利を買って損失を限定しながら、差額を貰うような取引ができます。当然現在の株価から遠い1万4000円の権利の方が安いはずなので利益が生まれる取引になります。


ここからが実践になるのですが、まず日本市場で事実上取引できるのが日経平均と、直近2, 3ヶ月の満期のもの位しかないので、北米市場に目を向けると数百の個別銘柄と、直近2ヶ月はなんと1週間ごとの満期があり、最大2年程の満期のものが取引されていました。実は仕事を通じて日本でも金融機関の相対で各種オプションは取引されており、満期も数年単位のものがあることは知っていましたが、個人の取引可能な商品でここまで差があるとは思っていませんでした。


情報はYahoo! Finance英語版から取得します。


ネットフリックスを例に見てみると、現在の株価は329ドルで、1月17日満期のストライクが300ドルのプットオプション(売る権利)は56セントで最後の取引が成立したようです。取引単位は100なので、売る権利を売った場合に受け取るプレミアムは56ドル、仮に1月17日に最悪の場合株価が0になっていたら3万ドル(厳密には3万ドルから当初受け取ったプレミアム、56ドルを引いたもの)の損失となります。右端にインプライドボラティリティが表示されています。


同じ300ドルのストライクで満期別のプレミアムを見てみると、1月17日満期のものが56セントに対して1月23日満期のものは7ドル43セント高い値段がついており、ボラティリティも急激に上がっていることが分かります。目で数字を追うこともできますが、グラフで可視化すると一層分かりやすいのではないでしょうか。


色々探してみるとMatLabというソフトで描写ができるようなのと、証券会社のツールで口座を持っている人については提供がありそうですが、自分で調整しやすいようにExcel&VBAでどうにかならないかと考えています。


これを見ると、何となく地形図の等高線を想像して嬉しくなるのは私だけでしょうか。