休暇の取り方

今年も海外レースへの出場が決まりました。ブラジルのパンタナルで開催されるアドベンチャーレース世界選手権です。イーストウィンドの主力メンバーである陽希さんの不在、海外レース初経験の新しいメンバー二人を加えての参戦となりますが、完璧なタイミングは存在しません。私自身は過去いくつかのレースで経験を積ませていただいた者として、チームを牽引する働きをしたいと思います。


今回は出場に伴う休暇の取り方について書いてみたいと思います。三年間で三度目の大型レースへの出場。一度に最低でも2〜3週間は休暇を貰う必要があるので、家族や会社に話す時はそれなりに気を使いました。私の場合は幸いにも大きな問題なく休暇とレースへの出場を認めて頂いてきましたが、長期休暇の取得が一般的になることを祈って今まで実践してきたコツを書いておこうと思います。



まず一番大事なのは、社内で信用を得ることです。私の場合外資系企業の営業部門なので金額ベースの目標がありますが、自分の働きによって会社に利益をもたらしていれば割と自由が利きます。これは狙っていたというより自然とそうなっていたのですが、教員免許を取って取って先生をしていたり、就職活動を頑張って大企業に勤めていたら難しかったかもしれません。教え子を置いて数週間海外レースというわけにはいかないでしょうし、大企業の歯車として働く中、空気を読まずに一人だけ自由に振る舞うのはちょっと難しいような気がします。もちろんそれぞれの組織の中にも、営業があったり人事があったり様々な仕事がありますが、やはり数字で評価される営業部門の方が勝手が効くのではないかと思います。私の場合は今年最初の四半期に目標の倍近くを達成したタイミングで、上司に話を持ちかけました。もちろん最初の四半期に結果を出すために、昨年秋から必死に仕込んでいました。要領がいいやつだなと思われそうですが、そこまで甘いものではありません。


次に覚悟を決めることです。数週間の休暇という貴重な経験を使って自分が何を成し遂げたいのか突き詰めると、覚悟が決まります。場合によっては職場では顰蹙を買って、もしかしたら家族にも寂しい思いをさせて、親には心配をかけてという場面があるかもしれませんが、そこまでしてやりたいことに取り組んでいるというのはある意味誇りに思っていいのではないかと思います。例えば私には小さい子供がいますが、今私が家を離れることを理解していなくても数年後に映像に残った姿を見て、感動を覚える瞬間がくれるかもしれません。


ひとつ注意すべき点としては、普通それだけの休みを取ってしまっても、恐らく暇で仕方が無いということです。それほど人は仕事等を通じて責任を任され、周囲との繋がりで生活しているものだと思います。私も学生の頃は、仕事を通じてこれほど多くの機会と報酬を得るとは思っていませんでした。一般的に会社に勤めていたら一年間の休暇は15日から20日前後でしょうし、フルに使えば一月弱は休めます。まとめて使ってしまった際の感想は、「長すぎる」というものでした。



何事にも共通することかもしれませんが、利害関係をきちんと見極めて、謙虚に相手に納得してもらうことが非常に大事だと思います。オリンピックアスリートでも、ノーベル賞級の人でも、それだけでは生きていけません。大多数の人は周りに頼って生活している訳で、巷に溢れるインターネットの情報や自己啓発本のように「やりたいことをやる」ために我を通そうとするのは、世界が狭まるのではないかと思います。