パンタナル・レース6日目

五時過ぎ起床。レース中とは思えないほどの熟睡。草の上にごろ寝だが、こんなに寝て大丈夫かというほど。

ルート的には合っているようで、深夜も数チームが歩いていった。起きてスイスチームと一緒に行く、と、民家が見えてきた! 出てきたおじさんによると、ここはイッピランガ。昨日はまだ到達していなかったのだ。マンゴーを分けてもらった。めちゃめちゃ美味しかった。スイスチームは女性がリードしている。強い。一時間強で次の街、サンミゲルへ到着。飛行場があってイッピランガよりもいくらか大きかった。ここでも2チームほど休んでいるチームがいて、丁度出発するところだったので一緒に出る。

朝7時頃。今日もひたすら東の方向へ進む。

何となく3チームほど一緒になって湿地を渡り、陸地をつなぎ進んでいく。昼過ぎ、この辺だろうと着いたが何も見えない。我がチームは着いていくときに彼らのおおざっぱな読図と説明からこの辺はまだ南に行き過ぎており、先に行く必要があると思っていた。五時間程度協力しながら進み、休憩の時も「1 minute to go!」などと声を掛け合っていっていたがそろそろ分かれることにした。正確には声をかけて、彼らも同じ方向へ行くということだったがこちらがもたついている間に先に行ってしまった。


そうして進んでいるとしばらく歩いたところでフェンスに出た。まだ4kmほども手前のようだ。北上すると正規ルートかと思い30分ほど歩くと反対方向に伸びるフェンスに出た。地図が正確であれば、我々は南にいたのではなく、北にいたということだ。なんと、逆の方向に向かっていた。しかし30分で現在地を把握できたと思えば悪くはない。フェンス沿いに着たところを折り返し、沼を越え、水草をかき分けて進んでいく。フェンスの交差と地図を確認し、時間で距離を測りCP17の位置へ向かって歩き出す。


本当に向かっている位置にあるのか? という疑問が拭えない。まさに人工物が皆無の地の果てである。しかし方角は合っているはず、というところで飛び立つ飛行機が見えた! 正確にこっちへ向かって飛び立って、旋回していった。これには勇気をもらった。今向かっている方角は合っているのだということに。


膝までの湿原を歩いていたが一つ40mくらいの幅の森を超え、もう一つの森を回っていくと建物が見えてきた。そして飛行場へ入るようだった。やっと着いた。農家を見るとやけに多くのチームが居る気がしたが、ギアジャンキーから聞くとここから先のセクションがキャンセルになり、あとはCP20に飛んでMTBだと言うこと。レースは中締めのような空気で皆リラックスしていた。ほっとした。

まだ前半である。時間がかかり過ぎだ。皆苦しんでいた。五チーム先に行き、マウンテンハードウェアーのニックが一昨晩ここを出発、翌朝「コースが難しすぎる」と戻ってきてキャプテンミーティングを開き、急遽ショートコースを設定したということ。
TVのインタビューを終えて荷物を解き、リラックスしてPFDを敷いて横になっているとすぐ眠れた。本当にこのレースではよく食べていない。床はタイルだったのでPFD(パドリングで使うライフジャケット)を敷いて良かった。敷いてなかったら寒かった。二つのPFDを広げて背中から腰をカバーした。バックパックの中敷きも出していたらここに忘れてきてしまった。


まるでどこかの難民キャンプである。